令和3年12月1日(水) |
「COP26」(地球温暖化対策国際会議)の報告・分析 |
水谷好洋先生
環境省地球環境局国際地球温暖化対策担当参事官
10月31日~11月12日、イギリス・グラスゴーにて開催されたCOP26の主要論点は、各国がどれだけCO2削減に関して野心的な目標を掲げられるかどうかと、パリ協定で積み残し課題となっていた市場メカニズムに関するルール作りの2つである。11月1日と2日に行われた首脳級の「リーダーズサミット」には、衆議院総選挙を終えたばかりの岸田文雄総理が出席。すべての国に野心的な気候変動対策を呼び掛け、資金面での支援増加も明言。世界各国から高く評価された。石炭火力発電の削減について言及がなかったとして一部NGOから非難する向きがあったが、非効率の石炭火力発電所を減らす目標については言及しており、そのような批判はごく一部にとどまり、おおむね日本に好意的だった。後半の会合には、新任の山口壮大臣が10カ国の大臣級と交渉の機会を持った。
後段のルール作りについては、途上国にもっと踏み込んだ削減目標を掲げてもらいたい先進国と更なる資金援助を求める途上国側との間でせめぎ合いがあり、難航した。特に、優れた脱炭素技術を途上国に輸出し、その成果をシェアする仕組みの中で、途上国側の二重計上を防止するルール作り、CO2だけでなくメタンも削減する目標を掲げる国とそうでない国との間の計上方法などの細かいルール作りに関しては、日本の提案が受け入れられた。また、各国が5年毎に排出削減の中間報告書を出すことになっているが、出したがらない途上国側に対して、追加支援と引き換えに報告書を出させることで合意した。
●ご案内状(pdf)