令和4年11月24日(木) |
ミサイル試射多発の北朝鮮に、どう対処すべきか! |
伊豆見元先生
東京国際大学教授・国際政治学者
2022年は、金日成生誕110年、金正恩体制10年という節目の年であり、ミサイル試射多発はそのために行われた。餓死者は減ったが、経済政策といえばインフラ整備を後回しにして住宅を建てており、北朝鮮国民は豊かになっていない。そこで対外的に成果として求めたのがICBMである。もっとも、ICBMといっても、一番重要な大気圏に再突入しても耐えられるだけの耐熱性と耐震性が今の北朝鮮の技術ではできない。もしできたとしても、本当に日本の領土やアメリカの領土に打ち込む気はない。それをやったら金正恩体制が崩壊することが分かっているからだ。今年の4回の実験結果を見てもほとんどは失敗。11月の最後の発射の時に娘とみられる人物と一緒に見ているということは、戦争をする気はないというメッセージであり、予算も尽きたとみられる。
日米韓の軍事的連携が強化されたのは、ある意味で北朝鮮のおかげだといえる。文在寅政権ではとても連携ができる状態ではなかったので、右派政権に代わって、ようやく道筋ができた。アメリカ中心に拡大抑止の強化が求められるが、日本の防衛力強化も必要だ。ミサイル防衛と反撃能力はセットで考えたい。同時に、国交正常化の外交交渉も進めたい。交渉が進んでいるうちはミサイルを撃ってくることはないからだ。拉致問題の解決を含め、外交交渉相手は金正恩体制ではなく、生まれ変わった体制と行いたい。
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