〇活動概要
この部会は、当時の会長・岸信介元総理が、教育部会に続いて設置したもので、「国内に石油や天然ガスなどの資源のない日本は、科学技術立国で生きるほかない。」として、エネルギー研究をはじめ、あらゆる科学技術の調査研究に取り組むよう指示があって始まった。その後、一口に科学技術といっても巾が広いので、下記のように、新エネルギー委員会、環境技術委員会、発明検討委員会、政策課題委員会の4委員会が出来ている。近年は、特に最初の二つが活動している。これまでに31本の政府宛要請書を起案作成し、政府はじめ各方面に提供している。
〇専門家
本部会は、科学技術に関心のある人々からなり、理工系の大学教授はじめ発明家の解説を聞いて、意見交換し、審議・検討することが多い。
〇内容の公表
「新エネルギー委員会」や「環境技術委員会」は、年度ごとに、毎月の講師と講題とその講話・検討内容を記したダイジェストを作って配布している。
また研究調査の結果及び要請書の内容は、姉妹団体の公益財団法人協和協会のページにて公表しています(下記ボタンよりリンク)。
〇具体的な活動実績
いろいろとあるが、特に成果を挙げたのは、平成15年に、この科学技術部会の委員会にて、「三次元海底資源物理探査船が、世界には百数十隻活動しており、アジアでも、中国が12隻、韓国が4隻保有しているのに、わが日本には1隻も所有していない」ことを知り、『諸外国に比べ、極度に遅れている海底資源探査専用船を、早急に建造・整備いただきたき要請』書をつくり、翌平成16年1月13日、総理官邸に時の福田康夫内閣官房長官をお訪ねし、数本の要請書とともに、この要請書を御説明の上提出した。その結果、この年、国は補正予算で104億円の研究調査費を省庁へ付けられた。
その際、この専用船一隻作るのにいくらぐらい掛かるのかとの御質問もあったので、そのあと、その研究に入り、一隻200億円ほどかかるとの見積もりが出たので、翌平成17年1月7日、総理官邸に時の細田博之内閣官房長官をお訪ねし、この『三次元海底資源物理探査船のため、内閣府に特別予算枠を設け早急に執行いただきたき要請書』を提出した。その結果、国は、資源エネルギー庁へ、247億円の予算を付けられた。
こうして、国は予算をつけたが、日本にこの専用船を建造・装備する技術がないことから、結局、ノルウェー船をチャーターしてその操作方法を学び、平成20年(2008年)2月11日、千葉県船橋港で完成式典をし、翌日にはあわただしく、調査のため出航した。
この船は、海底資源探査ばかりではなく、排他的経済水域は200海里内だが、もし大陸棚と認められると200海里以上が領海と認められるので、日本の領海問題・安全保障問題にも係わる重要な提言とされて、評価されている。
■「〔三次元物理探査船〕複数隻建造を!〜わが国のあり方を考える発表会・意見交換会〜」(平成22年11月26日(金)に、姉妹団体の協和協会が開催)の模様 ここをクリック
環境技術の分野も広範であり、河川・ダム・海水・湖沼の水質浄化、有害物質を出さない焼却施設の開発をはじめ、あらゆる環境対策に取り組んでいる。
水力、火力、風力、地熱、太陽光、メタンハイドレート、水素エネルギー等々の新エネルギーの開発、さらには、日本近海の海底資源探査などを研究する。
平成7年に上田稔元国務大臣・環境庁長官が当団体の理事長に就任。上田理事長は、京都帝大の理工学部卒業で、建設省河川局長を経て、参議院議員となったこともあり、この科学技術部会の部会長も兼任して、発病引退される平成14年まで、熱心に取り組まれた。中でも、この発明検討委員会には、現場を踏むことが大切だとの信念から、新規発明の視察には、全国どこへでも赴いたそして、各種新発明の有用性、真贋性、世に出すことの有用性・経済性を、徹底追求された。
(当初から清原淳平専務理事が委員長をつとめている)
この委員会は、技術面に関する法制度、法律・政令などの新設・改廃などを検討するとともに、他の委員会が作成し提出した政府宛要請書につき、後追い調査し実効あらしめるよう、働きかけることを役割とする。
科学技術部会作成 要請書一覧
※要旨・本文については外部サイト(姉妹団体の公益財団法人協和協会)でご覧いただけます。
平成21年6月1日(部会作成第31号・当会通算131本目) | |
平成16年提出の「海底資源探査船」要請が実現・就航したのを喜び、さらに、日本国で、早急に複数隻建造を進めていただきたき要請 |
平成16年1月13日(部会作成第30号・当会通算117本目) | |
諸外国に比べ極度に遅れている海底資源探査専用船を早急に建造・整備いただきたき要請 |
平成16年1月13日(部会作成第29号・当会通算109本目) | |
魚油・魚廃油のディーゼルエンジン用燃料化 技術とその実施についての要請 |
平成16年1月13日(部会作成第28号・当会通算108本目) | |
ディーゼル車排気微粒子状物質(PM)を早期に削減する方法の実施についての要請 |
平成16年1月13日(部会作成第27号・当会通算107本目) | |
地球温暖化防止に森林資源を積極的に 活用していただきたき要請 |
平成12年10月16日(部会作成第26号・当会通算99本目) | |
廃棄物により環境を汚染することのないように、廃棄物処理法を改正していただきたき要請 |
平成12年10月16日(部会作成第25号・当会通算98本目) | |
生物系廃棄物の焼却率を削減し、リサイクル活用するための諸施策についての提言 |
平成12年10月16日(部会作成第24号・当会通算97本目) | |
環境ホルモンに関する研究、法令、行政指導を速やかに、具体的に実施せられたき要請 |
公式には未提出(部会作成第23号・当会通算96本目) | |
PCB処理を速やかに促進し、漏出等による事故・汚染対策を早急に推進していただきたき要請 |
公式には未提出(部会作成第22号・当会通算95本目) | |
欧米先進国に遅れぬよう『コージェネレーション』の普及を促進していただきたき要請 |
平成11年6月8日(部会作成第21号・当会通算92本目) | |
海域油汚染災害発生時の対応をめぐる混乱防止と有効な資機材整備のための抜本的対策に関する要請 |
平成11年6月8日(部会作成第20号・当会通算91本目) | |
地球温暖化防止対策の一環として、大気中の炭酸ガス削減に生物の力を積極的に 利用する政策を促進していただきたき要請 |
平成9年10月(部会作成第19号・当会通算88本目) | |
高速増殖炉開発体勢の強化充実政策を 早急に推進していただきたき要請 |
平成9年10月(部会作成第18号・当会通算83本目) | |
技術の進歩に順応し、国際的整合性を保持するよう、技術士法を抜本的に改正して頂きたき要請 |
平成9年10月(部会作成第17号・当会通算82本目) | |
生物エネルギーの活用を、国の重要政策の 一つとして、推進していただきたき要請 |
平成8年1月(部会作成第16号・当会通算75本目) | |
生物による環境浄化の総合的推進施策を 早期に実施していただきたき要請 |
平成7年6月26日(部会作成第15号・当会通算73本目) | |
『海上流出油防除技術研究所』(仮称)を 国の機関として設置していただきたき要請 |
平成7年6月26日(部会作成第14号・当会通算71本目) | |
景気浮揚あるいは新エネルギー開発など国の重要課題には、特別の予算枠を設け、思い切った対策を講じていただきたき要請 |
平成6年9月(部会作成第13号・当会通算68本目) | |
環境監査規則を統一的に早期に制定していただきたき要請 |
平成5年11月26日(部会作成第12号・当会通算62本目) | |
油タンカー等による海上油流出事故に対して災害を最小限に抑えるための対策に関する要請 |
平成5年11月26日(部会作成第11号・当会通算61本目) | |
廃棄物処理費用の販売価額上乗せによる有価回収を法制化していただきたき要請 |
平成5年11月26日(部会作成第10号・当会通算60本目) | |
予想される大震災に対して、被害を最小限に抑えるための施策についての要請 |
平成5年11月26日(部会作成第9号・当会通算58本目) | |
有望なリサイクル・エネルギーとして、金属酸化熱の活用を国家政策として取り上げていただきたき要請 |
平成5年2月(部会作成第8号・当会通算56本目) | |
酸素欠乏マグネタイトを触媒とし排気ガス中の炭酸ガスを燃料化して、省エネとともに地球の環境保全を図る新技術を推進頂きたき要請 |
平成5年2月(部会作成第7号・当会通算55本目) | |
次世代エネルギー源として有望な 地球深層ガス探査を推進頂きたき要請 |
平成4年4月(部会作成第6号・当会通算54本目) ※この当時、医療福祉部会を設置していなかったため科学技術部会で作成。 |
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病院管理・地域医療・医療経済等に関する人材養成のため、大学・大学院に医療管理学課程の設置を推進いただきたき要請 |
平成4年1月(部会作成第5号・当会通算52本目) | |
廃棄物のリサイクル総合処理対策を国家的プロジェクトとして推進いただきたき要請 |
平成2年12月(部会作成第4号・当会通算45本目) | |
『電磁環境総合研究機構』を設立して頂きたき要請 |
平成2年12月(部会作成第3号・当会通算43本目) | |
酸性雨・霧から森林を守る措置を講じていただきたき要請 |
平成元年12月(部会作成第2号・当会通算39本目) | |
東京はじめ大都市の外郭にハイテクを駆使した 高機能性衛星都市を構想頂きたき要請 |
平成元年12月(部会作成第1号・当会通算38本目) | |
『総合安全対策調査会』等の機関を 設置していただきたき要請 |