平成18年5月30日(火)

国家と情報
―― 日本の国益を守るために ――

大森義夫先生

  元警察庁長官官房審議官、内閣官房情報調査室長


講話概要

 現代は「情報の時代」と言われます。企業においても情報をいち早くキャッチして対処しなければ存亡に係わりますが、この理は、国家においても、いや、国家こそ、重要な課題です。
 当協会では、これまでに124本に及ぶ要請書を政府へ提出しておりますが、平成17年1月、第117本目の総理宛要請書を、時の細田博之内閣官房長官にお目にかかり、御説明の上お手渡しいたしました。その内容の一部に、世界の主要国は、アメリカのCIAやロシアのSVRをはじめ、すべて独自の国際情報機関を有しているのに、日本はそうした機関を有していない。しかし、国際テロ化の時代において、他国の情報機関から情報を得るだけでは極めて危険なので、内閣府に、内閣情報調査室を改組した国債情報機関を設置していただきたい、との要請書を提出しておりますだけに、近年、大森義夫元内閣情報調査室長様が、より巾の広い見地から「国家と情報」問題を考えておられるので、お話いただきます。
 その内容は、世界の主要国が自前のインテリジェンス(対外情報機関)を持っているのに、日本は未だ対外情報機関を持っていない。そのため、日本は重要情報を施政者へ上げるのが遅れ、国益を損なう恐れがある。そこで、町村信孝外相の時に、外務省管轄の「情報機能強化に関する懇談会」が立ち上げられ、自分がその座長に任じられ、6回にわたり検討を重ねてきたが、その実現への道はまだまだ遠い、とその実情を披瀝し憂慮されました。
 そこで、当団体としては、すでに、平成17年1月に、総理官邸で細田博之内閣官房長官へお目にかかり、対外情報機関を内閣府へ設置していただきたい、旨の要請書を、御説明の上、提出しておりますだけに、大森義夫先生のお話はまことに同感で、向後、当団体も協力して、対外情報機関の設置を、政府へ働きかけていくことになり、その後の意見交換も盛んでした。

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