平成27年3月16日(月)

教育再生で語るべきこと
  ──不登校問題をめぐって──

小林正先生

小林正先生

教育評論家、全国教育問題協議会顧問、元参議院議員

講話概要

 今国会で来年の参議院選から投票権を18歳にする改正公職選挙法が成立する予定である。諸外国でも18歳からの選挙権が大勢を占めているが、それは徴兵の義務、つまり国のために命をかけて戦う義務を果たす者に権利を与える、というもので、義務が先で、権利が後である。日本は権利が先になってしまっている。
 川崎で男子生徒の集団暴行死事件が起きたが、本来、生徒が7日以上休んだ場合は校長が教育委員会に報告し、生徒に学校に登校するよう督促するという定めがある。今回の事例では、これが実施されておらず、川崎の教育委員会も対策会議を行っていなかった。いわば、組織的問題といえよう。根底には「不登校」の問題がある。「不登校」は、昔は「ズル休み」という、登校しない生徒に非があるように取れる言葉が使われていたが、無理に学校に来させると傷つき、自殺にまで追い込まれるから、無理に来なくてもよいとの考え方から、権利として登校しないと取れる「登校拒否」、そして「不登校」に変遷していった。不登校児の受け皿として「フリースクール」が称揚されているが、教員の質を上げ、学校が荒れないような対策を立てれば、何も「フリースクール」に通わせる必要などない。全国の小中学生の約12万人が不登校児で、その半数は学校内の施設で相談を何もしていない。教師や保護者などの誰かが手を差し伸べる必要がある。学校に行かなければ学力を取り戻すのは不可能に近い。ある調査では、教師の1週間の仕事時間は平均の1.6倍、課外活動の指導時間は3.5倍である。こうした状況で教員の数を減らすべきではない。一方で教員採用試験の競争率は下がって来ており、人材確保対策が急務である。
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