平成24年12月5日(水)

アメリカ大統領選挙後の対日政策について! 

日高義樹先生

日高義樹先生

ハドソン研究所主席研究員、日米問題の権威、元NHK米総局長

講話概要

 オバマ第1期4年間に、失業者数は700万人から1500万人に増え、財政赤字も8兆ドルから16兆3000億ドルヘと悪化し、任期中に支持率が50%を超えることはなかった。今回勝てたのは、アフリカ系、ヒスパニック系、アジア系と、若い女性たちや学生にアピールすることに成功したからで、投票率からすれば薄氷を踏む勝利であった。また、下院は野党の共和党が多数のねじれ現象もあり、議会との政策調整がむずかしい。ただ、今後有利なのは、ノースダコタ州などにあるシェールオイルの経済的精製技術に成功した上、ジョージア州からノースカロライナを経てワシントン州、さらにその沖合500kmに及ぶ、埋蔵量21兆トンという世界最大の油田が発見されて、もはや中東の石油に頼る必要が無くなり、いま石油ブームに沸いている。その点でも、アメリカは、国際戦略を中東から中国戦略へとシフトするだろう。これまで、アメリカは、厳しい財政情況から軍事費を減らしてきたが、現在のクリントン国務長官が退陣したあと、誰が国務長官や国防長官になるかが注目される。軍事的には、フォード級の次世代大型空母を造り、それに搭載する新鋭爆撃機を開発し、ロサンゼルス級原子力潜水艦も増やしているが、対中国戦略に使用するかどうかは政治問題である。

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