平成14年6月11日(火)

日本の安全保障
――危機管理法制を考える――

西元徹也先生

西元徹也先生

 元統合幕僚会議議長・陸将、前当団体安全保障部会長


講話概要

 いま、国際情勢は波瀾含みです。アメリカは、アフガニスタンを制圧したものの、ウサマ・ビンラディンは生存するとの情報で苛立っており、また、イラン、イラクをテロの温床として攻撃を準備しているといわれます。また、中東では、パレスチナ側の自爆テロの続発に対して、イスラエル側はパレスチナを武力包囲して、いつ再進撃するか分かりません。さらに、インドとパキスタンも、テロ事件と長年のカシミールの領有をめぐる紛争で、局地衝突を繰り返し、まさに、一触即発の状態が続いています。
 国内では、そうした国際情勢もあって、危機管理・有事法制の整備が、国会の大きな議題となっております。そこで、軍事専門家として高く評価されております西元徹也元統合幕僚会議議長に、頭記のテーマで解説をいただきました。
 まず、わが国の主要資源の海外依存度が高いこと、人口密度が高いため攻撃に対して被害率が大きいことなど、防衛上不利な特性を挙げ、また、これまで世界で起こった危機の態様を例示され、今後、わが国で起こり得る危機態様を想定されました。その上で、「有事」とは何か、国会で審議されている「有事関連法案」の内容、特に焦点となっている「武力攻撃事態対処法案」等も分かりやすく説明され、その問題点を挙げられ、法制の整備についての私見を述べられましたが、その頭脳明晰な分析・解説に、一同感銘し、その後の意見交換も盛んでした。

<<前回の月例会へ  次回の月例会へ>>

TOP