平成22年3月9日(火)

日本産業の国際競争力の低下とその対策について

小川元先生

小川元先生

政治外交評論家、元衆議院議員・外務政務次官・駐チリ国大使


講話概要

 我が国は、技術大国とはいえ、資源を外国から輸入しなければ製品化できない資源小国です。皆様も、報道で、見聞きされるように、外国の石油・天然ガス・希少鉱物資源などについて、中国など諸外国は、政府首脳が企業団を引き連れてすぐ飛んで行き、契約を纏めるのに対し、日本は、それが後手後手になって資源の獲得ができず、このままでは、日本国産業・工業の先行きに大きな不安があります。
 そうした折、経済・政治・外交それぞれの分野を体験されておられる小川元先生が、諸外国を歴訪されて、そうした実態、具体的事例を調べ、警鐘を鳴らしておられますので、御講話をいただくことにしました。
 その要旨は、自分は若い頃に商社におり、国会議員を引退してから駐チリ国大使となり、その後も折にふれチリをはじめ世界各国を視察している。その結果、以前は日本の対外活動も目覚ましかったが、今では見る影もない実態を見て、暗澹たる気持である。
 例えば、自分が駐チリ大使の頃は、自動車にせよ家電にせよ日本製が圧倒していたが、いまでは、テレビは韓国のサムスン製かLG製、自動車も現代製である。また、チリ国は、世界の銅の40%を産出し、貴重金属のリチウムの生産も世界一である。それなのに、日本政府も企業も手を伸ばそうとしない。その代わり、中国は、チリの主要閣僚を中国に招待し、積極的に資源を手に入れている。チリの鉱山資源にしても、日本企業はせいぜい10%株式出資する程度だが、中国などは、50%以上の出資をし、また一社丸ごと買収している。アラブ首長国連邦でも、日本が得意とする原子力発電プラントでさえ、韓国が受注している。それは日本がただ施設を売るだけなのに、韓国は運転まで請け負うからである等々、具体的事例を挙げて解説され、一同、その実態に驚き、日本政府や企業の反省を求める声が、多々挙がりました。

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