平成26年6月10日(火) |
ウクライナ情勢と日露関係! |
名越健郎先生
拓殖大学・海外事情研究所・教授、ロシア問題専門家
ソ連が崩壊し、15の共和国ができた時、ウクライナはロシアに次ぐ第二の共和国で、当時、ドイツ銀行は最も有望な共和国であるとしたが、その後、同国での政争が慢性化したため、いまでは一人当たりGDPはロシアの4分の1に落ち込んでいる事情もある。
そのクリミア半島については、プーチンは、「ロシア固有の領土だ」と言っているが、それは一面事実だ。というのは、1954年に、時のフルシチョフ大統領は、その母や妻もウクライナ人であったことから、クリミア半島をウクライナ共和国へ編入したからである。クリミア半島は日照時間が長く保養地として知られるが、また、ロシア4大艦隊の一つ「黒海艦隊」の基地があり、親ロ派のヤヌコビッチ・ウクライナ大統領が、大規模な反政府デモによって、ロシアに脱出したため、黒海が「NATOの海」になることを恐れての軍事介入と言える。
また、中国の脅威もある。中国はEUへの経済進出を望んでおり、いままではシベリア鉄道経由だったが、豊富な資金を使って、ヤヌコビッチ政権に接近して30億ドルを提供し、クリミア半島に海路、中国製品を輸出する大型港を建設。さらに鉄道網に資金を投じ、その港からヨーロッパに中国製品を提供する計画が進んでいたのを阻止する狙いもあった。こうして中ロ関係は決してよくないので、日本は北方領土返還交渉を積極的に進めるべし、と説かれた。
●ご案内状(pdf)
■名越健郎先生の講話(姉妹団体の(公財)協和協会での月例会)
・日露首脳会談へ望む〜〜経済協力・北方領土・平和条約〜〜(平成28年12月15日)
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