平成26年11月7日(金) |
中国の海洋進出と東アジアの安全保障
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飯田将史先生
防衛省・防衛研究所主任研究官
中国の陸の国境線問題は冷戦までにほぼ解決し、次は海洋への進出に乗り出している。経済発展により、資源・エネルギー需要が増大し、安定供給のため、海上の国境線を有利に取り決めたい、との意図を持っている。これまでの体制下では、共同開発や棚上げ論なども主張されてきていたが、習近平体制となってからは、「平和的発展の道は継承するが、同時に核心的利益の擁護を強調する」いわば強硬姿勢が目立つようになってきている。南シナ海では、マレーシア、ベトナム、フィリピンなどが領有を主張する環礁上に施設をつくるなどして実効支配を進めたり、石油の掘削を実施するなどの行動に出ている。
また、東シナ海では、我が国の尖閣諸島に、海警局の艦船による領海・接続水域侵入、潜水艦の潜航通過が継続しており、一度はレーザー光線で日本航空機に照準を合わせるなど、戦闘的挑発さえ行って来た。中国は、今後も強大化する軍事力を背景に、さらに現状変更を進めようとするであろう。アメリカは、尖閣諸島に安保条約の適用を明言している。こうした情勢で日本はいかに対応すべきか。まず、尖閣防衛の意思を明確化し、防衛能力の強化と共に国内法制の整備も急がなければならない。そして、海洋秩序の維持を目指すアメリカとの協力も推進させ、ベトナム、フィリピンをはじめ、インド、オーストラリア、シンガポールなど、多国間による安全保障環境の改善も進めていく必要がある。
●ご案内状(pdf)