平成26年7月15日(火)

人口減少の実態とその対策!

松谷明彦先生

松谷明彦先生

政策研究大学院大学名誉教授、元大蔵省の主計局・大臣官房審議官

講話概要

 日本の人口は加速度的に減少している。学者や政界筋の中には、その対策として「出生率を上げればよい」という人が多いが、私は統計資料上、それは無理だと思っている。つまり、日本の人口構成を見ると75歳以上の人口が非常に多い。なぜこの人口が多いかというと、戦前に国策で「産めよ増やせよ」とやって子供が沢山生まれたので戦前生まれの人が多いこと。それに加えて、敗戦後、海外から兵士が大量に帰国し結婚したため、この戦後時代の出生率が増えた。しかし、戦後は大変な食糧難だったため、国は昭和25年4月に「優生保護法」を改正して経済的理由による中絶の道を開き、人口増加を抑えようとした。そのため社会意識が変わって、夫婦は子供の出産をコントロールしてもよいのだと考え、中絶率が55%にもなった。ところが、その年の6月25日に朝鮮動乱が勃発し、日本は空前の好景気となった。あと3ヶ月まてば、社会意識を変えた優生保護法も必要なかったのだ。こうして、人口の谷間が出来てしまったし、また、近年では結婚しない風潮がある。もし、1億3千万の人口を維持しようとすると、結婚した女子一人が三人の子供を産まなければならない。それは無理であり、GDPが減少するのは避けられない。対策として、日本古来の職人芸+テクノロジーを助成し、外国企業を積極的に受け入れるよう資本の自由化を進め、安価な公共賃貸住宅を大量に供給し、また、財政支出を極力抑える政策を採るよう、政府へ進言している、とのお話でした。
ご案内状(pdf)

<<前回の月例会へ  次回の月例会へ>>

TOP