平成28年3月4日(金)

北朝鮮の実情と米・中・ロの国際関係!

重村智計先生

重村智計先生

北朝鮮研究家・早稲田大学国際教養学部教授、元毎日新聞論説委員

講話概要

 なぜ、北朝鮮は、核・ミサイル開発を続けるのか? それは、現体制の維持のためである。北朝鮮の通常兵器は朝鮮戦争時代のもので、パイロットの訓練も不十分。燃料も不足しているため、通常兵器による戦いになれば勝てない。結局、核開発せざるを得ないのだ。韓国側もそこは十分に承知しているが、「脅威だ」と言い続けることで、暴発を防いでいるのだといえる。また、北朝鮮は、「水爆実験に成功した」といっているが、実際は増幅された原爆であるという見方が有力。ミサイル技術についても進歩は認められない。これは、経済制裁が効いていることの裏付けでもある。金正恩としては、ミサイルや核で業績を作りたいという想いがあるようだ。さらに現体制が崩壊しない要因としては、秘密警察が国民をがんじがらめにしていることと、中国が崩壊を望んでいないこともある。もし韓国主導で南北朝鮮が統一された場合、米軍基地が中国国境近くにまでできることを恐れている。軍の参謀、国務大臣、総政治局長らが次々に処刑されている。これを「金正恩に力がある」と見る向きもあるが、それは違う。大物を処刑する時は、クーデター計画が発覚したときであって、とても安定しているとはいえない。
 拉致問題はなぜ解決しないのか? そもそも、拉致被害者の安否情報を要求したことが間違いの始まりだった。「拉致は、主権侵害である。全員返せ」とはじめから主張していれば、全員返還されていたかもしれないのだ。また、北朝鮮から1兆円を要求されたが、支払わなかった、ということも大きいだろう。これは、アメリカに止められたからである。現在は安倍総理の方針で交渉ルートを一本だけに絞っているが、これは正しい選択である。
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