平成28年7月8日(金)

世界経済における日本経済の立ち位置!

多村繁樹先生

多村繁樹先生

京王プラザホテル元社長、東京西北ロータリークラブ元会長

講話概要

 日本の借金が国と地方合わせて1062兆円、対GDP比205%と言われている。だが、国債の87%は国内の金融機関または日銀が保有しており、欧米よりも少ない。つまり、この対GDP比の数字は、国内から多額の借金が出来、国外からも借金が出来るだけの担保の裏付けとも言える。家庭の貯蓄率、企業の内部留保増加などのデータからは、日本の財政がすぐに破綻することはない、ということが裏付けられる。また、ODAなど国際協力に使えるだけの財源もまだ十分にある。とはいえ、借金の額が増えているのは否定できず、少子高齢化の影響で個人消費が伸び悩み、社会保障費は増える一方である。このまま消費税率が20%あたりまで引き上げられれば、大恐慌を引き起こしかねない。アベノミクス新3本の矢に期待をかけ、内需を喚起するほか、オリンピックによる経済効果も期待したい。これを機に観光立国を目指すのも一つの方策である。
 最近になって、GDPとは違う新しい豊かさを示す経済指標が提示されている。それは、経済成長率を、人的資本、生産した資本、社会関係資本、天然資本の4要素によって計算したもので、それによると日本が1位であった。人的資本は、世界最高の平均寿命、生産した資本は、民間の設備投資と政府の投資、社会関係資本は、インフラ類、天然資本は農業などによる。この水準を維持して行くためには、人口問題の解決、農業の生産性向上、教育への支出を増やすことが対策として挙げられる。
ご案内状(pdf)  

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