平成28年6月14日(火)

中国の海洋戦略の分析と日本の対応!

川村純彦先生

川村純彦先生

中国海軍分析専門家、元第五および第四航空群司令・統幕学校副校長

講話概要

 中国にとって、南シナ海は防衛戦略上なくてはならない海域である。防衛戦略とはA2AD(接近阻止・領域拒否)のことで、2010年までにアメリカが第一列島線内に入ってこられないように計画し、弾道ミサイルが配備されほぼ完成しつつある。2020年までに小笠原、グアム、ハワイを結ぶ第二列島線内に入れないようにし、2040〜50年ごろにはアメリカと肩を並べる軍事力を持つ計画である。
 南シナ海における戦略は、(1)国内法で自国領であることを主張する。(2)漁船を島の周りに派遣する。実はこれは海上民兵のもの。(3)その漁船を守る目的で公船を出し、隣国ともめごとを起こす。(4)騒動を収めるため軍艦が出る。(5)外交交渉を行う。その過程で飛行場までつくる。少しずつ歩を進めてくるので、サラミスライス戦術と呼ばれる。南シナ海は、スカボロー礁まで実効支配が進むと、完全に中国の支配下となる。集団的自衛権を行使できるようになったので、スカボロー礁奪回作戦には日本も協力すべきだ。
 日本は、中国にどう対処するか。一昨年の防衛大綱、日米防衛ガイドラインの刷新により、島を奪われたら奪い返す戦略から奪われないよう守る戦略に変わった。それでも大量のミサイルを撃ち込まれてはとても守りきれない。防衛費の1%枠の撤廃、情報の活用もさることながら、軍事だけでなく、経済・宣伝・外交と一体化した戦略が求められる。
ご案内状(pdf)

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