平成28年4月12日(火)

東日本大震災への対応
──宮城県警の活動状況──

竹内直人先生

竹内直人先生

元宮城県警察本部長、元警察大学校長

講話概要

 東日本大震災での宮城県の浸水面積は、福島県と岩手県の合計浸水面積の2倍にも及び、直接被害としては、最大だった。私はその宮城県警の警察本部長だったが、14名の警察官の殉職者を出してしまったことは、痛恨の極みであった。
 大震災直後は、無線がつながりにくく、情報が錯綜した。全面停電の中、通信機能の維持は、重大任務だった。燃料を絶やさぬよう、瓦礫を越え山中まで燃料を運搬した警察官たちには敬意を表したい。  大震災の前年にチリ沖地震があり、日本にも津波が到達したが、避難指示が出た時に避難した人は、わずか3.8%だった。豪雨や台風の時の避難指示に対しても、4%ほどしか応じていないという現実がある。この数字は上げていかなければならない。
 地震発生後は、生存者の救出・救助はもちろん、遺体の捜索、検視・身元確認、行方不明者相談ダイヤルの設置、被災者支援、犯罪予防のためのパトロール、遺失物返還、各種証明書の再発行、交通整理など通常以外の業務が膨大に発生した。「やれることはすべてやる」「長期戦を覚悟しよう」「部門間の連携をとろう」と指示し、全員が共通認識をもったことで、この難局をなんとか乗り切れたと思っている。
 地震はいつか起きるもの。被害を最小限に抑えるために、普段から備えをしておくべきだ。避難場所の想定や装備品の整備などの防災計画は自治体が行うものだが、つねに県警と連携して共同訓練を行っていくことは非常に重要である。
ご案内状(pdf)

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