平成16年2月27日(金)

景気回復と財政再建を両立させる経済政策

神野直彦先生


神野直彦先生

 早稲田大学社会科学部教授、スタンフォード大学大学院博士号取得


講話概要

 いま、世界各地で二国間FTA、あるいは地域間FTAを締結する動きが活発化しています。しかしわが国は、農業問題を抱えていることもあり、さきにシンガポールと締結して以降、その他の国々との交渉ははかどらず、貿易上、諸外国との競争で不利な立場に立たされることとなっております。
 そこで、FTA問題についての御著書も上梓しておられる浦田秀次郎先生をお招きし、FTA締結の意義、そしてそれに向けてのわが国のとるべき戦略等について、御講話いただくことといたしました。
 まず、FTAを締結する意義として、少子高齢社会が到来し、経済をさせる人口が減少しつつあるわが国では、産業構造を改革し、合理化を図ることが不可欠であり、それを推進するには、FTA締結による海外からのプレッシャーがきわめて有効である、との見解が示され、とりわけ東アジアとの締結の重要性を訴えられました。ただし、締結を推進するにあたっては、農産品の自由化、人の移動、原産地規則などのルール設定におけるリーダーシップの発揮、などの課題を抱えており、その克服には、政治家や一般国民からの強い支持と、日本の将来に対する危機感の共有、アジアとの交流の促進などが必要である、との持論を披瀝されました。

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