平成25年6月21日(金)

アジア太平洋地域の経済連携の動きと
日本の対応!

馬田啓一先生

馬田啓一先生

杏林大学総政策学部・同大学院国際協力研究科教授

講話概要

 WHO(世界貿易機構)も、159ヵ国が加盟、その8割が途上国のため、先進国と途上国が対立し、次第に機能しなくなった。そこで、各国の通商政策はWHOからFTA(自由貿易協定)へと軸足を移した。しかし、FTAは貿易相手国の障壁撤廃で貿易拡大のメリットもあったが、競争力の弱い産業(例えば農業)などへの打撃を生じ、ブッシュ政権ではFTAAP(アジア太平洋自由貿易圏)構想が提案され、それを整理してTPP構想が生まれ、オバマ政権もこれを引き継いだ。アメリカは、TPPなくしてアメリカの経済復活はないと考えており、また、経済的に巨大になった中国を抑える安全保障のためにも、日本抜きのTPPは考えられないと考え、日本に協力に迫っているわけだ。だが、このアメリカ構想に、近年、オーストラリア、ニュージーランド、ベトナム、マレーシア等が異を唱えており、そこで、アメリカも、安倍総理に「聖域なき関税撤廃ではない」と譲歩したのだ。したがって、日本としては、アメリカと上記諸国との交渉を観察しながら、出来るだけ有利に交渉を進める一方、国内各分野の構造改革を進めて行くことが必要だと説かれ、一同、大層勉強になりました。

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