平成29年9月6日(水)

本年の防衛白書について

小野功雄先生

小野功雄先生

防衛省大臣官房企画評価課長

講話概要

 わが国を取り巻く安全保障環境は一層厳しさを増している。不安定要素が顕在化・先鋭化し、純然たる平時でも戦時でもない、グレーゾーン事態が増加し、長期化しているという認識である。特に、北朝鮮による核兵器・大陸間弾道ミサイルの開発。中国による積極的な海洋進出と軍事力の増強は、不安定要素の深刻化につながっている。北朝鮮の弾道ミサイルは長射程化、正確化、秘匿化(移動式でどこから打ってくるかわからず、また発射の兆候が把握しづらくなってきている)、複数化が進んでおり、迎撃はより困難になることも考えられる。また白書には掲載されていないが、先日6度目の核実験を行い、軍事的脅威は増加の一途をたどっている。中国は、沖縄海域に加え、今年に入って日本海においても共同訓練を開始し、その頻度は増加するとみられる。空自の緊急発進は過去最高を大きく更新し、南沙諸島における国際仲裁裁判所の判決後も埋め立ては続いている。我が国は、これら事態に対し、日米同盟の緊密化を図り、トランプ政権に交代後も電話会談を頻繁に行っている。弾道ミサイル防衛については、イージス艦の8隻体制への増強を4年後までをめどに行う。サイバーテロ対策の増強も行っている。また、本年の白書では、安倍内閣の政策として女性活躍が掲げられていることから、特に女性隊員の活躍を取り上げたコーナーを作り、子育てと仕事の両立がしやすい点もアピールしている。
ご案内状(pdf)  

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