令和元年5月13日(月)

プーチン大統領の動向分析。日本の対応は?

磯村順二郎先生

磯村順二郎先生

アメリカ・ハドソン研究所上席研究員

講話概要

 当団体では、今年に入り、習近平の中国、金正恩の北朝鮮、文在寅の韓国、それぞれにつき、わが国トップクラスの専門家をお招きして、その分析・解説をいただきました。そこで、5月は、プーチンのロシアの動向が気になりますので、去る5月13日の月例会では、安倍総理の父上・安倍晋太郎先生(農林大臣・内閣官房長官・通産大臣、外務大臣等々要職を歴任)のもと、政策スタッフを務め、特に当時のソ連指導者ゴルバチョフやエリツィンとのつなぎ役をされていたことから、現在もロシア問題に詳しい磯村順二郎先生(現在はアメリカ・ハドソン研究所上席研究員)に、「プーチン大統領の動向分析、日本の対応は?」と題して、御講話いただきました。
 磯村先生は、まず、当時の晋太郎先生とゴルバチョフやエリツィンの交渉経過について回想された後、本題に入り、現在のプーチン大統領としては、中国はじめ韓国や東南アジアが発展してきているのに、ウラジオストックを中心とするロシア沿海州地域や北方四島を含め樺太・千島の開発が遅れているので、日本に経済協力してもらいたい。その上で北方四島交渉だと言っている。そこで、安倍総理は、1956年(昭和31年)に日ソ間で締結された唯一の協定『日ソ共同宣言』の内容である「日ソ間で通商や漁業関係の協力交渉をし、平和条約締結後にソ連が歯舞群島と色丹島を日本国に引き渡す」とあるのに従い、プーチンとの間で話を進めようとした。ところが、プーチン大統領が今春、ロシア国内の北方領土返還反対の声に押されて、「北方領土を棚上げにして、平和条約を結ぼう」と言い出したことから、日本国内も反発し、北方領土返還を優先すべしとの声が高まって、停滞情況にあるが、自分は平和条約優先を考えるとされた。磯村先生は、その他、北朝鮮対策にもふれ、最後に、日本の外務省は、外交はすべて外務省を通さねば公式ではないとの感があるが、安倍総理とプーチンとの間で平和条約を先行させると決めたのだから従うべきだと外務省に注文をつけられた。聞いていて大層勉強になった。(清原記)
ご案内状(pdf)  

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