令和元年6月11日(火)

遺伝子診断・遺伝子治療への新しい展開!

安藤寿康先生

安藤寿康先生

慶應義塾大学教授・教育学博士、御専門は行動遺伝学

講話概要

 人間の身体は約60兆個もの細胞で構成されており、そのそれぞれに、23対の染色体が入っていて、この中に人間の身体のすべての遺伝子情報が入っている。したがって、例えば爪の細胞であっても、身体すべての情報を持っている等々、基礎的な用語(DNA、遺伝子、ゲノム、エピゲノムなど)につき、分かりやすく御説明下さった。その上で、例えば、両親から子供が遺伝子を受け継ぐ場合、父母はそれぞれ30億対の遺伝子情報を持っており、子供は、パパママから遺伝子情報を受け継ぐので、単純に(パパ+ママ)÷2、とはならない。その意味では、遺伝は単純に遺伝するとはいえない。自分(安藤先生)は永年、双生児、それも一卵性と二卵性の双生児の研究をしてきたが、その結果、「学校の成績は教育の仕方や本人の頑張り次第」という考えは否定され、「努力より遺伝子」という比重が大きい。しかし、仮に自分の細胞から外見そっくり人間を作ったとしても、その知能とか人間性といった本人の中身的なものは、そっくり人間に引継がれることはない、といいうる、といった御研究成果で、一同、安藤先生の御研究に心から敬意を表しました。国はすでに、クローン人間を作ろうとする者が出てくることを恐れ、平成12年に「ヒトに関するクローン技術等の規制に関する法律」を制定し、クローン人間作成を罰則をもって禁止している。今回の講話で、もし不届き者が現れても、精神的な中身は再生できないことが分かった。(清原記)
ご案内状(pdf)  

<<前回の月例会へ  次回の月例会へ>>

TOP